はじめに

教員という仕事に関して、近年、労働環境がよくないという報道が続き、ネガティブな職場の印象が広がることで教員志望の学生が減少してしまうのではないかと危惧しています。教員という仕事は、これからの日本や世界を創造していくであろう児童・生徒たちの成長や未来づくりに関与することのできる、素晴らしくやりがいのある仕事だと私は考えています。教育は人と人との直接的な相互の交流を通じて展開されるものであり、児童・生徒の学びやウェルビーイングを高めるためには、実際に現場で教育にあたられる教員のウェルビーイングが高いということが重要だと思います。教員が児童・生徒に与える影響は計り知れないものがあり、教員と児童・生徒、教員同士の相互作用が強力な教育効果を生み出すことは、多くのみなさんが認識されていることと思います。  そこで、ウェルビーイングな学校づくり、そして地域づくりを目指していくうえで、まずは多数の児童・生徒に多大な影響を与えるであろう教員に焦点をあて、彼ら彼女らの働きやすい環境づくりやメンタルヘルス、ライフ・キャリア、ウェルビーイングに関する研究に取り組むことで少しでもその目標の実現に寄与できればと本研究会を立ち上げました。2025年度科学研究費助成事業基盤(C)の採択課題「教員の縦断研究体制整備に向けてー学年担任制は教員のメンタルヘルス対策として有効か」の調査研究の推進を手始めにして、継続的にデータを収集しながら、データに基づく教育行政の意思決定、学校組織マネジメント、いきいきとした教員の働き方や人生に繋げられるように、教育行政や教育現場のみなさんとともに考えていきたいと思います。疫学アプローチ、心理学アプローチを用いながら調査研究を推進し、結果のフィードバックを通して実践に活かしていく取り組みができればと考えています。日本全国の「先生たちのためのウェルビーイング推進室」機能を果たすべく、本研究会でこれから取り組むプロジェクトへのご理解、ご協力、ご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

研究会代表 宮道 力

代表

宮道 力  岡山大学学術研究院教育研究マネジメント領域 准教授

メンバー(敬称略)

大川一郎  筑波大学名誉教授       元筑波大学附属学校長       埼玉学園大学心理学研究科 教授・研究科長

吉原 寛  松本大学人間健康学部 教授・教職センター長

高尾総司  岡山大学医歯薬学域疫学・衛生学分野 准教授

野口理英子 高崎健康福祉大学人間発達学部子ども教育学科 准教授

活動内容