TSC東京支社勤務時の2002年、初めて岡山大学法文経学部同窓会東京支部総会に参加した。当時は、最高裁判所上席調査官や東京高裁判事などを歴任された吉井直昭氏(岡山大学法1期生)が東京支部長をされ、1年に1度開催される支部総会には、田中角栄総理大臣補佐官、通産省事務次官を歴任された現岡山大学Alumni会長の小長啓一先輩(岡山大学法1期生)、郵政省事務次官でKDDI設立に尽力された奥山雄材先輩(岡山大学法2期生)、検事総長をされた吉永祐介先輩(岡山大学法1期生)など、多数の卒業生が参加されていた。法文経学部同窓会東京支部総会を開催継続してくださり、場をつくっていただいていた先輩方の存在は、東京にまったくネットワークのない私にとっては本当にありがたかった。しかし、残念なことに、若手同窓生の参加者はそれほど多くはなかった。  2003年の法文経学部同窓会東京支部総会の準備にあたり、法文経学部同窓会東京支部の活性化を図るべく、幹事長をされた川口一郎先輩(岡山大学法27期生:現株式会社クイック代表取締役社長)に相談し、私が世話人として若手同窓生を集めてリーダーズセミナーを開催することにした。株式会社クイックの会議室を会場に借りてのスタートで、初回の講師は小長啓一先輩に依頼した。  それから数年を経て、岡山大学は総合大学というメリットを活かすべきだと考え、個別縦割りになっていた当時の学部同窓会組織に横串を刺すことができないかと考えた。小長啓一先輩に事前に相談し、金光富男先輩(岡山大学2期生:金光ホール寄贈者)、中門弘先輩(岡山大学8期生:元刑事局長、法文経学部同窓会東京支部長)、竹原啓二先輩(岡山大学24期生:現岡山大学Alumni副会長)、坂東靖夫先輩(工学部同窓会関東支部)、大学からは当時の田中宏二理事、岡田雅夫理事、そして私の8名で集まって、全学同窓会構想の提案を行った。その方向性について合意を得て、小長啓一現Alumni会長のリーダーシップのもと、基盤づくりに務めた。  2010年4月、岡山大学東京サテライトオフィスが東京駅八重洲南口(京橋)に移転することになり、首都圏にある同窓会の支援業務が東京サテライトオフィスの所管となり、私がその任にあたることとなった。当時、法文経学部同窓会東京支部は1年に1度、工学部同窓会関東支部は4年に1度の開催であったが、同窓会懇親会運営の事務局を一括して東京サテライトオフィスが担当することにし、法文経学部同窓会東京支部総会の開催に合わせて工学部同窓会関東支部総会も同時開催することになった。その後、当時の医学部同窓会(鶴翔会)東京支部の土岐彰支部長(元昭和大学)にコンタクトをとって連携を深め、さらに農学部同窓会関東支部の設立支援、理学部同窓会東京支部の設立支援を行ったうえで5つの学部同窓会を中心に、全学部の卒業生が集まる現在のAlumni東京支部の土台が構築された。  このAlumni構想のベースになったのは、学生時代から関与していた体育会OB・OG会の連合組織であった岡山大学陵門体育会の設立と初代事務局の経験であり、これを東京地区での同窓会活動にも水平展開したらよいという考えと、2004年に国立大学が法人化されたことにより、将来的にはいかに外部資金を獲得するかが大学発展の大きな要因の一つになると考え、いち早くその基盤をつくるべきだと考えたことにあった。学生時代の恩師からは、早稲田大学の稲門会、慶應義塾大学の三田会の話をよく伺っていたことや、「アメリカの大学を見てみろ。大学は同窓生が支えるものだ。」という言葉に叱咤激励され、岡山が生んだ異才、平櫛田中の「わしがやらねば誰がやる」という言葉を胸に秘めてAlumni設立のための基盤づくりに励んだ。千葉喬三学長退任後、森田潔学長体制になり、新しく同窓会担当理事に就任された荒木勝理事が、これまでの基盤をもとにAlumni設立を学内で牽引され、現在のAlunmiが設立されるに至った。私が世話人をしていたリーダーズセミナーは、2010年より岡大OB・OGフォローアップセミナーに名称変更して継続開催するとともに、後年、長谷川伸城氏(弁護士)を幹事として学部横断型の交流会である岡大懇話会を開催することになり現在に至る。  この間、常に陰ながら幹事団形成を支援し、核となってこれらの活動を導き支えてくださった都築訓佳先輩(岡山大学法27期生)、山下憲一先輩(岡山大学経済28期生)、重枝昌彦先輩(岡山大学法32期生)、若手を常に励まして支援してくださった竹原啓二先輩などの存在が大きかったことを忘れてはならない。当時のことを知る人は、大学内ではごくわずかになった。岡山大学の同窓会組織の運営から私自身は離れたが、当会のますますの発展を心より願いつつ、自らの領域の発展に寄与するべく次の目標を定め、小さな一歩を踏み出したい。未来のことに意識を向けて、新しい価値を生み出すことに力を注いでいきたい。                                         2025.5.3